
――トレンドとは別次元にある、唯一無二の個性――
今年は何がトレンドなんだ? どんなデザインが売れ筋なんだ? とアイウェア業界やそれを追うメディアが色めき立つ春のシーズン。そんな喧騒はどこ吹く風なブランド。「今はメタルやコンビネーションでしょっ! トレンドは意識しないのか? なんて素敵な(笑)ご忠告をいただくこともありますが、トレンドっていったい誰が決めるものなんでしょうかね。私は、使ってくれるエンドユーザーが気持ちよくそのデザインを選んでくれたら、それだけで幸せですよ」。デザイナーの石渡旭氏が、そんな想いで続けているのが『pLAtOy(プラトーイ)』だ。

――見ただけでそれと判るアイコニックなデザイン――
pLAtOyは、かつて’80年代に日本のアイウェアデザインを海外に知らしめた「Lunetta BADA」(V MAGAZINE JAPAN EDITION Vol.2を参照)の創設メンバーの一人だった石渡氏が10年前に設立したブランドだが、その拠点をイタリアに置き、すでにヨーロッパやアメリカで高い評価を受けている。とかく我々はアイウェアのデザインをジャンルで区分けしたがるが、同ブランドのデザインはそのどこにも属さない、ブリッジから急角度で立ち上がるブローライン、目尻を引き締めるエッジ、不思議な色合い……。かといってパーティグラスのような、極度に掛けるシーンを限定されるものでもない。
「僕のデザインは決して奇を衒ったり、アバンギャルドなものではないですが、10年間ブレないですね。欧米では観ただけで僕の眼鏡だと判る、と言われます。僕のデザイン性をよく知って理解してもらえるのは嬉しいですね」。

――新たに発表されたコレクション“ROCKETS”――
pLAtOYには、プラスチック生地を用いた同名コレクションと、メタルを用いた“TIN TOY”コレクションをラインナップしているが、先ごろ開催されたイタリア・ミラノでの国際展示会「MODO」 で、新たなコレクションが発表された。“ROCKETS”と名付けられたそれは「今年でpLAtOyは10周年を迎えます。そこで新しいコレクションの必要性を考え、僕らしいシンプルなデザインで日本製の生地とパーツを使用した、少しだけpLAtOyより安価なモデルを考えたんです」という意欲作。

発表の場となったMIDOでも、リピーターのバイヤーは前告知に大きな期待を寄せて予算を割き、また新規のバイヤーも既存のコレクションを目当てにしつつ、ブレないデザインゆえにROCKETSもバイイングするなど、好調なスタートを切った。来る4月10,11日開催の第3回VOS TOKYO 2018にはpLAtOy、TIN TOYの最新作に加え、このできたてホヤホヤのROCKETSコレクションも展開する。全国のバイヤー諸兄は、ぜひこの機会にpLAtOyのブースに立ち寄られることをオススメしたい。

デザイナープロフィール
石渡 旭(いしわたり あきら)1980年に白山眼鏡に入社し、1984年に近喰寛氏とともにリュネッタ・バダを創立。’90年代をミクリ ジャポンで過ごし、2007年にはプラトーイの初コレクションを発表する。以降、拠点としたイタリアと自宅のある千葉とを行き来し、創作活動に勤しむ。
Instagram @ platoy_akira_ishiwatari
HP : pLAtOy by Akira Ishiwatari Design studio
Writing:H.Jitsukawa
Photo:A.Ishiwatari