
ここは一見すると氏のブランドの旗艦店のようだが、フレームを販売するのではなく、いわばショールームとしての機能を果たす場だ。しかしながらショールームと一口で語るには事足りないエモーションがここには託されていた。その想いとは……。

「26年間眼鏡のデザインに携わり、日本製の眼鏡の品質や生産背景も含めた素晴らしさを人一倍感じてきました。そんな素晴らしいプロダクトがまだまだ使えるのにもかかわらず、壊れたからと買い替える人を目の当たりにする中で、メンテナンスや修理で長く使う意識を根付かせていきたいと思ってきたんです。そして金銭感覚は人それぞれですが、それなりの価格で買うわけですから壊れたから新調する、ではなく良い眼鏡を見つけたらアフターケアも含めて安心して買いたい、という意識の人を増やしたいですね。そうすれば結果的にもっとフレームが売れると信じてクリエーションしています」。
そんな志ゆえ、他ブランドのメンテナンスも可能な限り対応してくれるという。モノで溢れる日本の消費文化を根底から変えようという気概がそこには感じられた。

V MAGAZINE JAPAN EDITION Vol.2でインタビューした折、親交の厚い池尻大橋の「Good People & Good Coffee」 で撮影したことからもコーヒーへのこだわりは感じていたが、バリスタを常駐させてまでコーヒーをサーブするには訳があった。
「鍋を囲んで大勢で食事すると話が弾むのと同じように、コーヒーを飲んで一息つく文化がとても好きなんです。コーヒーは人との距離を縮めてくれるし、新しいアイデアを導き出してくれる。だからこそ来てくれる人が飲むコーヒーにはこだわりたいと、強く思っているんです」。
コーヒーはさまざまな世界と外山氏をつなげる命の水、といっても過言ではないのだ。

「LennyとはV MAGAZINEがキッカケで、香港で知り合ったんです。お互いに波長が合うこともあるんですが、何よりどこか懐かしくて、どこかシニカルな彼の視点を感じる作風に強く惹かれますね。また偶然にも池田君を始め、日本の知人とも仲が良かったりと縁があり、僕が香港に行ったり彼が日本に来たりすれば必ずご飯を食べに行く、という関係です。池田君とどんなアーティストを第一弾にしようか話し合い、お互いの仲間であるリアルな関係でスタートするのが良いよね、って話になったんです」。
これにKwong氏も快諾。メンテナンス、コーヒー、アート。アイウェアだけに留まらない世界がこうして出来上がった。

さまざまな世界が交差し、共鳴するTHE LOBBY TOKYO。アイウェア界は次のステップに足を踏み込んだ、と言えるだろう。
THE LOBBY TOKYO
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11:30〜19:00(火曜〜土曜日)
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HP : yuichitoyama.com
Writing:H.Jitsukawa
Photo:M.Nakajima